第6分科会

北方領土問題と不動産登記制度
~一歩ふみ出すためにあらためて不動産登記制度を考える~

兵庫県青年司法書士会

開催趣旨・目的

北海道の東に位置するいわゆる北方四島(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)は、ご存じのように、第二次世界大戦終戦時に旧ソ連に侵攻され、今現在にいたるまで法的根拠なくロシアに占領され続けています。しかし、北方四島にある不動産の所有権は間違いなく元島民の方々にあり、侵攻のさなかに命がけで持ち出された不動産登記簿や戸籍簿等は、現在釧路法務局根室支局に大切に保管されています。今現在は、北方領土における不動産登記は、国の行政権の行使が事実上不可能な状態であることを理由に行えず、登記名義人に相続が発生した場合の手続きのみが用意されています。
 
この北方領土の元島民の方の権利を守ろうと、30年前、歯舞群島内の不動産に対する、所有権登記名義人住所変更登記を通じて、活動された司法書士の先輩方がおられます。本分科会では、当時、登記申請に至った経緯や、その後の最高裁判決(いわゆるマスガタ訴訟判決)を通じて、不動産登記制度の本質を学び、不動産登記制度が一体だれのために何のためにある制度なのかを考え、今後の不動産登記制度の発展につながればと考えます。
今連日のように報道されている、ロシアのウクライナ侵攻が北方領土問題の解決の足かせになっています。ロシア政府は制裁措置に対抗し、元島民がビザがなくても故郷を訪問出来る、いわゆる「ビザなし交流」の事業を中止すると表明しており、元島民の方々を落胆させています。

終戦時1万7,291人いた元島民は年々減少し、今年の3月末時点で5,474人になってしまいました。当然今後も減少してきますが、北方領土問題は風化させてはいけない問題です。北方領土問題について、不動産登記を通じてもっと関心をもっていただき、我々が司法書士として何が出来るかを一緒に考えましょう。

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